ヤマザクラの育苗活動~未来につなごう桜彩る街

更新日:2024年04月04日

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「三田さくら物語」

 今が盛りの武庫川桜づつみ回廊を彩るソメイヨシノの「健康寿命」はおよそ60年。この大切な風景を失うときがやがてやってきます。三田市では、里山に自生するヤマザクラの苗を育て、武庫川桜つづみ回廊などに植樹し、里の恵みを未来に伝える新たな三田のさくらスポットを創出する取組みを行っています。

三田さくら物語について

 「三田さくら物語」の一環として、ヤマザクラを市民や事業者の方に育てていただき、老樹になった市内のソメイヨシノに代えて植えていく取組みを、三田市が始めました。
学校校内や、武庫川の土手を彩るサクラは、「ソメイヨシノ」と呼ばれる人がかけ合わせて作られた品種です。ソメイヨシノは、クローン(挿し木や接ぎ木)で増やされたため、自分で子孫(種)を増やすことができません。また、同じ遺伝子を持つために、伝染病がまん延しやすい弱さを持ちます。そこで自然環境の保全と、美しい春景の保護に向けて、ヤマザクラの育苗活動に取り組んでいるところです。

市民参画の取り組み

ヤマザクラの種拾い

令和4年6月に、市民に育苗を呼びかける「さくらの里親会」を開催し、市内の親子ら25人が参加しました。ヤマザクラの特徴や、苗の栽培方法などについて人と自然の博物館で学んだ後、ヤマザクラが自生する木器(こうづき)の里山で、種を集めました。種はご自宅に持ち帰って、苗に育てていただきます。
種まきは11月~1月が適しているということで、参加されたみなさんはちょうど今頃、種を蒔いているころと思います。
育った苗は令和7年以降、武庫川桜づつみ回廊や学校などでの植栽を予定しています。

現地の準備や案内は、開催場で保全活動をしている 『もりんちゅうの会』 さんが協力くださいました。

人と自然の博物館でのヤマザクラのセミナー

専門機関との連携

人と自然の博物館でヤマザクラ種まきの見学

人と自然の博物館には、ヤマザクラに関する専門的な知見をいただくとともに、育苗のご協力をお願いしています。11月末、種まきをされるということで、研究員の石田先生にご案内いただきました。
博物館には、野生植物、特に絶滅危惧植物の保護を目的として、様々な野生植物を栽培・育成する『ジーンファーム』という施設があります。木器(こうづき)のヤマザクラもこの施設で苗に育てられます。
石田先生は、「ヤマザクラは日本に元から生息していた在来種ですが、地域の環境によって、異なる特徴(遺伝子)を持っています。三田市に自生している種を育て、植樹していくことが大事です。」と、おっしゃられていました。

人と自然の博物館でのヤマザクラ種まき

企業参画

エスペックさんへヤマザクラ種譲渡新日本カレンダーさんへヤマザクラ種譲渡

令和4年11月には、三田市近郊に事業所を持つ企業にも育苗を呼びかけました。『神姫バス株式会社 三田営業所』、『エスペック株式会社 神戸R&Dセンター』 、『新日本カレンダー株式会社 三田工場』の3事業所さんが協力表明くださりました。

新日本カレンダーさん種まき

 

また、令和5年6月には皿池湿原において、新日本カレンダー株式会社 三田工場のみなさまとヤマザクラの種集めを行いました。

皿池湿原でのヤマザクラの種集め        ヤマザクラの種

先進地視察

尼崎の森で育苗の勉強会

県立 尼崎の森中央緑地は、工場があった埋立地を、市民や企業と協働しながら、森をつくる取組みをされています。県民が苗木を1年間育て、中央緑地に自分の手で植樹する『苗木の里親』にも取り組まれています。苗木活動について、現地で勉強をさせていただきました。

「桜」からみる里山の今

私たちが学校、公園、河川敷で楽しんでいる桜のほとんどはソメイヨシノです。しかし、古来、日本人が愛で、和歌や絵画で題材とされてきたのはヤマザクラでした。

ヤマザクラは、日光がよく当たる明るい場所を好みます。昔は、薪、木炭、肥料に使うために、人が木を伐っていたので、木がまばらで明るい山が普通にありました ― そう、『里山』 です。市内の森は、約9割が里山として使われてきました。

しかし、エネルギーが石油やガスに代わり、里山に人の手が入らず、多くの森が薄暗くなっています。日本の文化をつくってきたヤマザクラも将来、姿を消してしまうかもしれません。

里山の保全を通じて、桜で楽しさや憩いを感じられ、賑わいがあるまちづくりに取り組みます。

手入れされている明るい里山林荒れた里山放置林

手入れされた明るい里山林(写真左)と、荒れた里山放置林(写真右)

この記事に関するお問い合わせ先

産業振興部 里山保全課
〒669-1595 兵庫県三田市三輪2丁目1番1号
電話番号:079-559-5226
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