2025年日本国際博覧会協会からの万博コラム寄稿(第2回)「なぜ今、万博か?」

更新日:2024年07月22日

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第1回の「万博とは何か?」に続き、今回は「なぜ今、万博か?」についてお伝えします。

万博の開催が近づくにつれ、万博の開催意義への関心も高まっています。そもそもなぜ今、万博を行うのか? ここでは3つの視点から、万博の開催意義を考えてみます。

<執筆者紹介>

3_博覧会協会・西本敬一氏

公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会
(Japan Association for the 2025 World Exposition)
経営企画室・上席審議役
(Director General Extraordinary, Management Strategy Office)
西本 敬一氏
(NISHIMOTO KEIICHI)
 

第2回:「なぜ今、万博か?」

○「世界のいのち」を知る万博
万博は、「世界の今を知る場」です。世界160ヵ国もの今を知る場は、万博をおいて他にはありません。ところで、そもそもなぜ、世界を知る必要があるのでしょうか? それは、私たちの生活に世界が密接に関わっているからです。身の回りのモノやサービスを見ても、世界との関係なしに私たちの生活は成り立ちません。そしてその関係は、今や私たちの「いのち」にまで広がっています。新型コロナウイルスの問題は、世界との関係なしには解決できない実態を露にしました。気候変動や環境問題、頻発する紛争等、いのちを取り巻く環境は年々厳しさを増しています。未来世代にいのちを繋ぐためにも、世界のいのちの今を知り、世界と共にいのち輝く未来社会を目指す大阪・関西万博の開催は、今の時代に必要なものと考えます。

○日本と自分を見つめ直す万博
世界の今を知る万博は、日本と日本人自身の今を見つめ直す万博でもあります。世界の多様性を知れば知るほど、自らとの違いを知り、自らを見つめ直すきっかけになります。世界のいのちや生き方を知ることで、対話と交流が生まれ、お互いの違いを認め合う相互理解と寛容さに繋がります。世界の分断が進む現在、つながりを取り戻す万博の価値は、以前よりも遥かに高まっているのではないでしょうか。

○インターネット時代の万博の意義
インターネットが普及した現代において、もはや万博に価値はないとの意見を耳にします。私はこれまで25年にわたり万博を見てきましたが、インターネットと万博には明確な違いがあります。それは「人々の存在」です。世界中の人々と五感を通じて対話し交流できる。これこそがリアルな万博の価値であり、インターネットには決して真似できないものです。もう一つは、英語でセレンディピティと言いますが、偶然の出会いも万博の魅力の一つです。私がドバイ万博で最も感動した展示は、カザフスタン館で見た人間とロボットアームによる共演、大変印象的だったのは、ガボン館で見た映像でした。皆さんも、インターネットでは決して出会えない価値を万博で見つけられると思います。

 

3_ドバイ万博・カザフスタン館

ドバイ万博・カザフスタン館(写真提供:西本敬一)

4_ドバイ万博・ガボン館

ドバイ万博・ガボン館(写真提供:西本敬一)

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