令和6年6月三田市議会定例会(第376回)市長提案説明
はじめに
皆様、おはようございます。
令和6年6月三田市議会定例会の開会に当たり、議員の皆様のご健勝を心からお喜びするとともに、日頃のご精励に対し深く敬意と感謝を申しあげます。
はじめに、発災から間もなく5カ月が経過する「能登半島地震」の本市の支援状況についてご報告いたします。この間本市では、奥能登地方への緊急消防援助隊、珠洲市への避難所運営支援及び家屋被害認定支援に27人の職員を派遣してまいりました。派遣した職員から現地状況の報告を受け、被災地の復興は道半ばであることを実感しているところであります。今後とも兵庫県と調整しながら被災された方々に寄り添った、息の長い支援を行ってまいります。
また、4月3日に台湾東部を襲ったマグニチュード7.7の地震は、現地に大きな被害をもたらしました。台湾にお住まいの皆さんからは、過去日本で起こった大規模な地震の際に多大なる支援をいただいており、市でも被災者への支援のため、市内11カ所に募金箱を設置し、義援金への協力を呼びかけているところです。
来年の1月17日には、阪神淡路大震災が発災してから30年の節目の年を迎えます。震災の記憶を風化させることなく、いつ、どこで起こるか分からない災害から大切な命、財産を守るため、市民の皆様と危機感を共有しながら、平時から、備えを行ってまいる所存ですので、引き続き、議員並びに市民の皆様のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。
重点課題
こどもを核としたまちづくりの考え方
さて、ご承知のとおり、令和4年の我が国の合計特殊出生率が1.26と過去最低となるなど、子どもの数は減少の一途をたどっています。また、三田市は該当しませんでしたが、先月民間有識者でつくる人口戦略会議が全国の市区町村のうち4割超にあたる744自治体を「消滅可能性自治体」に分類したとの報道がありました。本市でも子ども・若者の減少は続いています。このままでは、本市の活力は衰えていってしまう、との危機感を改めて強くしたところでございます。
将来にわたって本市が活力のあるまちであり続けるためには、私は、子ども・若者がこのまちに住み、生涯にわたって住み続けることに「不安」ではなく「希望」を持てるまちであることを強く訴求する施策を実行し、発信する「子どもを核としたまちづくり」が欠かせないと確信しております。これにより、たとえ一度市外に出たとしてもふるさとを想い、戻ってきていただけるような魅力あるまちにしてまいりたいと考えております。
そこで、全ての施策について「子ども・若者がこのまちに住み、生涯にわたって住み続けることに「不安」ではなく「希望」を持てるまち」に資するかという視点から検証し、その結果を踏まえて施策や事業を再構成する「子ども施策の再体系化」を行い、令和7年度予算編成時にお示ししたいと考えております。
持続可能な財政運営のもと「子ども施策の再体系化」を行うことで、先ほど申しあげた「子どもを核としたまちづくり」を推進し、将来への希望が満ちあふれた三田市を実現してまいりたいと考えておりますので、議員の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。
こどもを核としたまちづくりの実現に向けた新たな取り組み
次に、これらの検討にあわせて実施している「子どもを核としたまちづくり」の実現に向けた取り組みについてご報告させていただきます。
第一に、公民連携による子育て支援についてであります。
令和6年3月8日に、阪神間で初めて、子ども用品メーカーの「ピジョン株式会社」が提唱する「あかちゃんとそなえの輪推進プロジェクト」に加わることとしました。今後、同社と連携しながら、防災対策に関する情報提供など乳幼児のいる家庭に対する災害への備え支援、フードバンク活動の実施や市のイベントへのブース出展等、乳幼児の子育てに役立つ取り組みを検討することとしております。
第二に、農村地域における子育て・教育環境の充実についてであります。
地域の皆さん、保護者の皆さんのご理解とご協力のもと、「認定こども園みつば幼稚園」が4月に開園し、多くのお子さんに通園していただいております。今後も、(仮称)認定こども園ありまふじ幼稚園の開園準備を着実に進めることにより、農村地域の子育て環境・幼児教育の充実を図り、若い世代にとっても魅力ある地域づくりを進めてまいりたいと考えております。
第三に、対話によるこどもを核としたまちづくりの推進についてであります。
「子どもを核としたまちづくり」の精度を高めるためには、当事者の方々の実感や、考えていらっしゃることをお伺いすることが何よりも大切です。この観点から、今年度は、「市長への手紙」の対話版として、「子育て」をテーマにタウンミーティングを実施するとともに、三田市こども計画の策定に当たっては、中・高生や子育てに関心のある方を対象としたワークショップの開催、インターネットから意見提出のできる「オンライン意見箱」の開設などを実施しています。これらの取り組みを通じて頂いたご意見は、予算編成や計画策定に当たっての参考にさせていただくこととしております。
第四に、子どもから高齢者までが安心して暮らし続けることのできる医療体制の確保についてであります。
子ども・若者の皆さんが、このまちで「不安」なく住み続けるためには、しっかりとした医療提供体制を確保することが欠かせません。この観点から、引き続き三田市民病院の診療機能を維持し、経営改善に努めるとともに、新統合病院の整備等については、関係機関と連携しながら着実に推進してまいりたいと考えております。また、この取り組みをより円滑に、かつ、確実に進めるため、4月から本市の現状や課題等について専門的知識や経験等に基づいて助言・提言をいただく「三田市医療政策顧問」を配置しております。
今後も子どもから高齢者までが安心して高度な医療を受け続けるためには、これまで以上に神戸大学との連携を強化する必要がありますので、市から積極的に紐帯(ちゅうたい)を強めるための働きかけを行ってまいりたいと考えております。
第五に、子どもから高齢者までの移動手段確保のための地域公共交通維持に向けた取り組みについてであります。
地域公共交通は、日常生活を支えるに当たって重要な役割を担っており、その維持は、地域の魅力を高めるものであります。しかし、地域公共交通を取り巻く環境は極めて厳しく、ドライバーの高齢化、2024問題などによる人員不足が常態化しており、近年では、運転手不足による路線の廃止が全国で見られます。本市においても例外ではなく、担い手である運転手の確保は喫緊の課題となっています。
この課題に対し、市が積極的に関わることで解決に導く仕組みを整えることができないかと考え、神姫バス株式会社に声をかけさせていただき、路線バスの担い手確保に向け連携して取り組みを推進することを目的とした「公共交通の担い手確保に関する連携協定(担い手共創プロジェクト)」の締結を行うこととしました。
担い手の問題を交通事業者だけの問題とせず、地域を巻き込む新たな仕組みにより、地域公共交通の担い手を確保するとともに、「まちとしての持続可能性を高める」ことをメッセージとして伝えてまいりたいと考えております。
いずれの取り組みも、このまちが子どもたちにとって、将来にわたり住み続けられると確信できる三田市を目指し、しっかりと取り組んでまいります。
提案議案について
それでは、今期定例会に提案いたしました議案につきまして、ご説明を申しあげます。
令和5年度決算見込み
はじめに、補正予算の説明に先立ち、この5月末をもって閉鎖いたします、令和5年度の決算見込みの状況につきましてご報告申しあげます。
まず、一般会計の決算見込みでありますが、歳入では、地方交付税が国税収入の決算等に伴う追加交付により当初予算比で約6億円増加するなど、一般財源収入の増加を見込む状況です。一方、歳出では、引き続き物価等高騰の影響を受ける中ではありましたが、公共施設の光熱水費をはじめ各行政経費の徹底した管理や効果的・効率的な執行に努めたことなどにより、収支については、予算で計上していた財政調整基金を取り崩すことなく、4億円台の黒字が見込まれる状況となっております。
しかしながら、決算の段階では黒字を確保できているものの、令和6年度当初予算において9.1億円と多額の財政調整基金の活用を前提としているなど、近年は予算編成の時点において歳入歳出の均衡を見通すことが、より難しくなっており、結果として、まちの魅力の向上につながる施策など新たなチャレンジに対しても、十分な予算を配分しづらい状況が続いています。
また、本年3月に公表した長期財政見通しでは、複数の大規模投資事業を控えた本市において財政的条件が現状のまま推移した場合、今後10年間で約46億円の収支不足が生じる見込みとしています。これら潜在的な財政課題に対して、過度に基金に頼ることなく、時機に応じた「攻めの施策展開」が可能になるよう解決を図ること並びに大規模投資事業による財政負担増への対策が急務となっています。
こうしたことから、私は3月議会で、先に申しあげた「子ども施策の再体系化」とあわせて「財政構造改善の取り組み」に着手することを表明したところです。この取り組みについては、現在庁内で検討を進めており、夏に財政構造改善の骨子をお示しし、その後、次の予算までに具体的なプログラムの案を取りまとめた上で、ご報告させていただきたいと考えておりますので、議員の皆様におかれましては、ご理解賜りますようお願い申しあげます。
次に、令和5年度決算のうち、特別会計におきましては、国民健康保険事業会計をはじめ5会計すべてが黒字決算となる見込みであります。
また、企業会計でありますが、水道事業会計では、給水栓数の増加や継続した経営努力により約4億1,400万円の純利益を、また、下水道事業会計では、接続件数の増加や経営努力の継続により約1億9,300万円の純利益を、それぞれ計上できる見込みであります。
市民病院事業会計では、物価高騰による材料費等の増加に加えて、新型コロナウイルス感染症5類移行後も発熱患者等への対応のため一定の病床数を確保する一方、関係補助金が減少したことにより約7億700万円の赤字決算となる見込みです。
なお、第3セクター三田地域振興株式会社につきましては、テナント賃料及び駐車場収入等の増加により、令和5年度は黒字決算となる見込みであります。
予算案件
続きまして、予算案件でございますが、令和6年度一般会計補正予算ほか1件であります。
議案第51号「令和6年度一般会計補正予算(第1号)」でございますが、物価高により厳しい状況にある生活者支援として、国の「デフレ完全脱却のための総合経済対策」における「重点支援地方交付金」を活用し、新たに令和6年度において住民税が非課税になる世帯、住民税均等割のみが課税になる世帯への給付金、それら当該世帯の18歳以下の子どもへの「子ども加算」と、所得税・住民税で定額減税しきれない方へ給付金を支給する経費として、9億2,180万円を増額しようとするものであります。
また、議案第52号「三田市民病院事業会計補正予算(第1号)」につきましては、三田市民病院での医療過誤に対する損害賠償金の支払いとして2,060万円の増額補正をしようとするものであります。
条例案件
次に、条例案件でございますが、法律の改正に伴う「三田市行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用に関する条例の一部を改正する条例」のほか計6件であります。
事件決議
そして、事件決議でございますが、「三田市民病院の管理に係る指定管理者の指定について」のほか計5件であります。
専決処分事項の報告
最後に、専決処分事項の報告及びこれの承認を求める件であります。
地方税法等の一部改正に伴い、所要の規定の整備を行うため改正した「三田市市税条例の一部を改正する条例」及び「三田市都市計画税条例の一部を改正する条例」の計2件であります。
なお、今会期中に予算案件、事件決議、三田市固定資産評価審査委員会委員の選任等に係る人事案件を追加提案いたしたく考えておりますので、ご了承賜りたくお願い申しあげます。
以上をもちまして、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、何とぞ慎重にご審議をいただき、適切なるご議決を賜りますようお願い申しあげ、提案の説明といたします。ありがとうございました。
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更新日:2024年05月27日