令和6年3月三田市議会定例会(第375回)市長提案説明

更新日:2024年02月20日

ページID: 26604

はじめに

皆様、おはようございます。
令和6年3月三田市議会定例会の開会に当たり、議員の皆様のご健勝を心からお喜びし、日頃のご精励に対し深く敬意と感謝を申しあげます。
はじめに、令和6年1月1日に発災した「令和6年能登半島地震」により、お亡くなりになられた全ての方々のご冥福を心からお祈り申しあげますとともに、ご遺族の方々及び被災者の方々に対しまして、心よりお見舞い申しあげます。被災地の皆様の安全と、一日も早い復興をお祈りしております。
「令和6年能登半島地震」は、ご家族や仲間とゆっくり過ごされていた元日に発災したところであり、改めていつ起こるか分からない天災の恐ろしさを身に沁みて感じたところであります。私は、三田市の防災力をさらに高め、市民の皆様の暮らしを守る、安全・安心なまちづくりをしっかりと進めなければならないと改めて決意したところであります。
本市の「令和6年能登半島地震」への対応でございますが、「三田市災害等支援本部」を立上げるとともに、1月15日の石川県能登町への救急隊の派遣をはじめ、珠洲市の避難所支援や家屋被害認定支援のための職員派遣など兵庫県と調整しながら迅速かつ適切に対応しているところです。また、被災者の受け入れ支援としまして、2月より市営住宅3戸を家賃無料で提供していますが、先日1戸の入居がありました。引き続き、不安を抱えながら過ごされている被災者の皆様のお気持ちに寄り添い、可能な限りの人的・物的支援を行ってまいりたいと考えております。

 

市政運営方針

それでは、令和6年度の予算案を提案するにあたり、市政運営に関する基本的な考え方と、令和6年度の市政運営の方針をご説明申しあげ、議員並びに市民の皆様のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。
私は、この約6か月間あらゆる機会を通じて、出来る限り、多くの市民の皆様や団体、事業者の方々と直接お出会いし、積極的に対話を行うとともに、市長への手紙を通じてご意見を頂戴するなかで、市民一人ひとりの暮らしに直結する、私に託された市政運営の責任の重さを強く感じたところであります。
私のまちづくりへの思いは、一言で申しますと「元気な三田」を創ることです。また、私は日本全体の人口が減少している状況は十分に理解しておりますが、あえて、「人口減少をくい止める」ことをまちづくりの根幹として取り組んでまいりたいと考えています。
本市は、北摂三田ニュータウン開発以来、豊かな自然と利便性が高い住環境を共存させた都市計画のもと、全国的にも注目されてきたまちです。成長期に整備された都市基盤や公共施設を活用し、活発な市民活動に支えられ、落ち着いて暮らすことのできるまちとして、まちの成熟とともに、評価されてきました。こうした先人の取り組みには、大いに感謝するところでありますが、今、三田市は大きな転換期を迎えています。急激な少子高齢化の波、多くの公共施設の老朽化、植栽管理など都市環境維持の負担、多様化・複雑化する行政需要へ十分に応えることが難しくなった財源など、このような山積する課題が立ちはだかる険しい道のりを打開するには、まちの元気を支える市民の皆様の存在や様々な活動が、まちの活力には不可欠であります。
こうしたことから、私は人口減少をくい止め、まちの活力をひき起こすことが、私に課せられた最重要課題であると考え、今三田で暮らす若者だけでなく、三田で育ち、今は市外で暮らす若者の皆様にも三田の良さを再認識していただけるよう、自らが先頭に立ち、これまで以上に、市内の住み替え促進や、子育て世代に選ばれるまちとして実効性のある様々な施策を展開し、積極的に情報発信するとともに、市内経済の活性化を図り、新たなまちの可能性を創出することで、「元気な三田」を創ってまいります。
そのためにも、私の市長としての任期中において、私の掲げる「こどもを核としたまちづくり」の最重要施策となる「高校生までの医療費の完全無料化」、「中学校給食費の無料化」について、早期に実現できるよう取り組んでまいります。なお、令和6年度予算の計上を見送った理由につきましては、後程ご説明させていただきます。
三田市は、人口増加期には全国から、また近年の近畿圏においても住みよいまちと評価を受けていたところですが、最近においては、まちの訴求力が弱まっているのではないかと危惧しています。今、既にある三田のまちの魅力を、さらにアピールすることはもちろんですが、魅力の創出や磨き上げにかかる様々な取り組みがまちの姿として現れるには、時間が必要であり、今はその土台づくりに着実に取り組む必要があります。
新年度予算の編成にあたっては、土台づくりとして、ニュータウン再生に向けた社会実験の実施、子どもから高齢者まですべての市民の命を守る新統合病院の整備推進、また、これまで十分に着手できなかった都市の緑をはじめとした環境整備、安心で快適な就学前施設の改修整備、学校・公共施設の長寿命化改修、学ぶ意欲を持った多くの子どもたちへの支援の充実など、まずは足場をしっかりと固めていくことから始めていきたいと考えています。

とりわけ、令和6年度は、将来にわたり持続可能で『元気な三田』を創るため、「(1)対話と発信による市民主体のまちづくり」を基本とした上で、「(2)現在を生きる市民を支える」とともに、「(3)未来に向けた人口減少対策」に果敢に取り組むことといたしました。

 

(1)対話と発信による市民主体のまちづくり

まず「(1)対話と発信による市民主体のまちづくり」についてですが、私は市長就任後、市の各施策や財政状況等に加え、市政運営にあたっての現状や課題などについて、職員からレクチャーを受け、それらの詳細な把握に努めてまいりました。第5次三田市総合計画をはじめとした各種計画等に基づく市政運営における継続性の意義や、限られた資源のもと、誰一人取り残さない視点で、あらゆる世代や立場の方に対し、各施策・事業が幅広く且つきめ細やかに展開されていることなどについて改めて認識いたしました。しかしながら同時に、一人の三田市民としての感覚からすると、こうした市の取り組みが多くの市民に十分に伝わっていないことも、実感しているところであります。
令和6年度は、積極的に市長タウンミーティングを開催し、市民の皆様との対話を通じ、皆様が知りたい情報の把握や、情報がきちんと伝わっているかなどを確かめることで、市民ニーズに添った広報に努めると共に、市の財政状況や市民サービスなどについても、しっかりお伝えしていきたいと考えています。さらに、広報誌や市ホームページなどの既存の媒体に加え、多彩な情報発信が可能となる動画の活用を強化することで、若い世代をはじめ多くの市民の皆様に情報が届くよう効果的な発信につなげていきます。このように、広報広聴活動を充実、強化することで、私が目指す市民本位の市政運営を推進してまいります。

 

(2)現在を生きる市民を支える

次に、「(2)現在を生きる市民を支える」についてですが、昨今の国際的な原材料価格などの上昇の影響により、エネルギーや食料品等の価格高騰は、今もなお、市民生活や地域経済に多大な影響を与えており、物価上昇に対して賃金の上昇が追いついていない状況にあっては、国による「デフレ完全脱却のための総合経済対策」の効果が十分に浸透するまでの間、引き続き、市民の経済的負担の軽減を図っていく必要があります。
私は、今三田で暮らす市民の皆様を大切にし、暮らしを支え、豊かにすることが、未来の三田の活力につながるものと考えており、皆様が不安に感じたり、困っておられることをしっかりと把握した上で、市民の皆様に寄り添ったサービスを提供できるよう努めているところです。
こうしたことから、令和6年度は市独自の施策として、子育て世代に対しましては、本年1月から拡充した高校生期への通院医療費助成に加え、小・中学校及び幼稚園の給食の調理にかかる光熱水費の全額及び食材の物価高騰相当額について、市が負担することで子育て環境の充実を図るとともに、経済的負担を軽減してまいります。
また高齢者に対しましては、介護保険料について、制度開始以来、初めて基準額を引き下げ、負担軽減を図ることで、県下でトップクラスの低額な基準額となる見込みであり、物価高騰下における高齢者の皆様の生活を支援してまいります。そのほか、低所得世帯への支援給付金につきましては、国の財源を活用して適時適切にスピード感をもって事務を進めるなど、今後も市内経済状況を踏まえて、市民及び事業者の皆様の暮らしを守りぬくため、今必要な支援を積極的に行ってまいります。

 

(3)未来に向けた人口減少対策

最後に、「(3)未来に向けた人口減少対策」についてでありますが、議員の皆様もご承知のとおり、本市の人口動態については、近年減少スピードが加速しており、今後さらに人口減少、少子化が進むと、市民生活を支える様々な社会システムや公共サービスの維持が出来なくなるなど、まちの存続そのものが困難となってしまいかねません。特に若年層の減少については、就職や進学を契機とした転出傾向が以前からあったものの、私は強い危機感を持ち、待ったなしの状況であると考え、「さんだ移住・定住促進アクションプログラム」の強化により、若年層及び子育て世代の移住や定住、結婚を後押しする様々な事業をパッケージ化し、市全体で取り組んでまいります。
加えてニュータウン開発による大規模な住宅供給が終了し、子育て世代を中心とした転入者が減少したことも、人口減少の大きな要因であるため、本市の持続的な発展に必要である子育て世代の流入促進に向けた住宅供給を推進するため、約540戸の住宅建設を予定する三田駅前Cブロック地区の整備促進に加えて、フラワータウンの再生プロジェクトにおいては、関係機関と連携し、実効性のあるプランをとりまとめていきたいと考えています。

 

令和6年度組織体制

こうした「元気な三田」の実現をめざし、令和6年度の市政運営を推進するにあたり、令和5年12月議会でご議決賜りました「三田市の組織及びその事務管理に関する条例の一部を改正する条例」に基づく組織体制により進めてまいります。部の細分化・再編により、多様化する課題等へきめ細やかに対応するほか、市民にわかりやすい組織名称への変更、危機管理体制の強化に加え、人口減少対策の深化を図るため移住定住施策に特化した課を新設いたします。さらに公共施設マネジメント、地域公共交通の維持確保、ニュータウン再生等の本市が克服すべき様々な課題の解決に向けては、行政だけでなく民間事業者をはじめとする多様な主体と連携することは非常に有効な手法であります。そのため、公民連携を横断的、戦略的に推進する組織を設置し、リーダーとなる「公民連携推進プロデューサー」を公募により登用するなどにより、組織体制の充実、強化を図ってまいります。

以上の考え方のもと、令和6年度の市政運営の総括的な方針として【未来に向けた土台づくり 『元気な三田』への再始動】を掲げ、「元気な三田」の実現に向けて今すべきこと、今できることを着実に且つスピード感を持ち推進することで、まちの基礎体力を強化してまいりますので、議会並びに市民の皆様におかれましては、ご理解、ご協力を賜りますよう、お願い申しあげます。

提案議案について

それでは、今期定例会に提案いたしました議案につきまして、ご説明を申しあげます。

新年度予算

財政状況

はじめに、令和6年度の予算案の具体的な内容をご説明いたします。それに先立って、まずは、本市の財政状況について、議員並びに市民の皆様にご説明申しあげます。
令和5年度の本市の財政状況は、歳入のうち市税収入は176億円程度を確保できる見込みであり、普通地方交付税の臨時的増額等を合わせた一般財源収入は増加が見込まれる状況です。一方、今年度末に向けては、大規模自然災害の発生を受けた特別交付税の減額や、歳出では物価高騰による資材費、人件費等の高止まりが懸念されることから、令和5年度当初に計上した財政調整基金8.8億円の取崩しについては圧縮を見込みながらも、引き続き収支の動向に注意する必要があります。
また、昨年6月に公表した令和14年度までの「中期財政収支見通し2023」においては、単年度平均で4億円を超える収支不足が見込まれました。現在のままでは本市が未来に向けた大規模投資事業等に対応しつつ、行政サービスの水準を維持することが困難であることが示され、更に踏み込んだ財政的取り組みが求められている状況です。
令和6年度の歳入は、令和5年度当初予算と比較して、定額減税による個人市民税の減少や法人市民税(法人税割)の減少などから、固定資産税における償却資産分の増加等を考慮しても、市税は3.6億円の減収を見込んでいます。なお、減税分の補塡を含めた国の地方財政措置等を前提とし、譲与税・交付金や地方交付税等を加えた一般財源全体としては、増収を見込んでいるところです。
一方、令和6年度の歳出は、これまで検討や準備を進めてきた新ごみ処理施設や新統合病院、学校再編など大規模事業の本格実施や、長引く物価・エネルギー高騰に対して市民負担を軽減するための手当て、本市の魅力である緑豊かな生活環境や恵まれた教育環境を維持するための事業などが重なり、関連経費の増加が見込まれます。これら先送りできない財政需要が先行する中でも適切に予算を配分し、誰もが安心して暮らし続けられるまち、元気なまちに向けた取り組みを着実に進めていく必要があります。
こうしたことから、令和6年度の予算編成に当たっては、「元気な三田」の実現に向けて「足場を固める」施策に重点的に取り組むこととし、必要な財源を確保するため、歳出フレームのコントロール等に努めました。その結果として、令和6年度予算では、前年度を超える、財政調整基金から9.4 億円及び公共施設等整備基金から3.8 億円の繰り入れを行うことにより収支均衡を果たしました。

 

 

重点施策

令和6年度は、第5次三田市総合計画に掲げる、まちづくりの基本目標である“「ひと」×「まち」×「さと」が織りなす未来都市 三田”を踏まえ、あらためて市民目線・市民本位の基本に立ち返りながら、まちの賑わいや活力を将来にわたって発展させていく「元気な三田」を創っていくため、「未来に向けた土台づくり 『元気な三田』への再始動予算」と位置づけ、これから申しあげる3つの柱を重点施策として取り組む予算としております。

「こどもを核としたまちづくり」に向けた施策の充実

1つ目の重点施策は、『「こどもを核としたまちづくり」に向けた施策の充実』であります。
子育て世代に選ばれるまちの前提となる、“三田で安心して産み、育てることができる環境”を整えるため、子育てをめぐるライフステージごとに、多様化するニーズにきめ細やかに対応できるよう各施策を充実させてまいります。産婦健診助成や産後ケアなど産後の母子支援の充実や、「子ども家庭センター」の相談支援体制の充実等による子ども・子育てに関するセーフティーネットの強化を図るほか、農村地域の公立幼稚園の集約により、保育サービスの充実に加えて施設機能も一新し、子育て世代が安心して預けたいと思える魅力ある市立認定こども園を初めて設置してまいります。
さらに、本市においても、近年喫緊の課題となっている不登校対策については、児童・生徒の実態を踏まえ、「あすなろ教室」へのスクールソーシャルワーカーの新規配置や「校内サポートルーム」の確保、個に応じた支援を行う「子どものサポーター」ほか支援人材の追加配置、メタバース空間を活用して人とのつながりを支援する「あすなろe-school」の充実など、「不登校対策の緊急パッケージ」を整備し、対応を進めます。また、学校給食費保護者負担の軽減による給食の充実や、老朽化している学校施設の大規模改修などにより、教育環境の底上げを図ります。

 

子どもから高齢者まで誰もが「安心して暮らせる三田」

2つ目の重点施策は、『子どもから高齢者まで誰もが「安心して暮らせる三田」』であります。
私は、多くの市民の皆様や各種団体の方々と様々な機会を通じてお出会いし、多様なご意見を伺う中で、一人一人が年齢や性別、障害の有無や国籍などにかかわらず、三田で安心して暮らし、そして幸せを実感できるまちづくりが必要であるとの思いを改めて強くしました。そのため、市民の命を守る急性期医療の維持・充実に向けた新統合病院に関する事業をはじめ、災害発生時に被害を受けた市民を迅速に支援するための被災者支援システムの導入や、避難所資機材等の備蓄充実、深刻化する特殊詐欺被害防止対策として、高齢者世帯への自動録音電話機等の購入支援、介護支援専門員の資格取得研修や更新費用の助成による介護人材の育成支援、重度障害者の外出支援の充実、外国人児童生徒への語学指導員の配置など、喫緊の課題に沿った取り組みを進めます。
また、これまで市内で活発に展開されてきた身近な地域での見守り、支え合い活動などの地域福祉を支える重要な人材である民生委員・児童委員の担い手確保に向けたPR動画の作成などにより、引き続き活動の拡がりや強化が図れるよう、支援の取り組みを進めてまいります。

 

「元気な三田」を見据えた未来への投資

3つ目の重点施策は、『「元気な三田」を見据えた未来への投資』であります。
市政の運営においては、資源に限りがある中でも、短期的な施策と中・長期的な視点に基づく施策の両方を調和させ、推進することが重要であり、ふるさと三田を未来へつないでいくため、先を見据えた取り組みを行うことが求められます。ニュータウン再生事業として、フラワータウンでは新たな魅力創出に向けた社会実験の実施、つつじが丘では、まちづくり勉強会の取り組みにより引き続き推進するとともに、次世代に農地を着実に引き継いでいくため、めざすべき将来の農地利用の姿を明確化する地域計画の策定、脱炭素化の実現に向けた廃プラスチック類分別収集にかかる調査などを進めます。また、令和10年度の稼働をめざして新ごみ処理施設の整備を進めるほか、その他施設の長寿命化に向けた改修や、市民の財産を適切に維持し新たな価値を創造する、公共施設全体のマネジメントなどにおいて、現状を踏まえて身の丈に応じて取り組むことで、明るい未来を築く礎となる事業を推進してまいります。

 

物価高騰下の支援

また、これら3つの重点施策に加え、「物価高騰下における市民生活等への支援」にも取り組んでいまいります。
物価高騰の負担が大きい低所得世帯や引き続き影響を受ける生活者及び事業者を支援するため、先ほど申しあげました学校給食費保護者負担軽減や、3月補正で提案しております事業として、住民税均等割のみ課税世帯への1世帯あたり10万円の支給や、低所得者の子育て世帯への子ども一人あたり5万円の支給(物価高騰対応重点支援給付金)のほか、小規模事業者、農業者、公共交通事業者等への支援を、国の重点支援交付金等を活用しながら、継続的な対策を推進してまいりたいと考えております。

 

予算規模

以上、重点施策等の主なものを申しあげましたが、これら施策・事業を展開する令和6年度予算の規模は、一般会計が438億6,700万円と前年度比3.0%の増加であります。
また、特別会計では5会計合わせて220億1,170万円と前年度比1.8%の増加、企業会計は3会計合わせて212億820万円と前年度比1.7%の減少であり、会計ごとの独立採算を基本とした施策・事業を着実に推進する予算としております。
これら全会計を合わせた令和6年度当初予算の総額は870億8,690万円と前年度比1.5%の増加であります。

 

市長公約の実現に向けて

なお、令和6年度予算には計上しておりませんが、私の公約施策である「高校生までの医療費の完全無料化」及び「中学校給食費の無料化」の実現に向けた考え方について、この際に併せてご説明申しあげます。
令和6年度予算編成は、前年度から継続する資材燃料費、人件費等の高騰が本市のあらゆる事業費の膨張につながり、大きな歳入歳出ギャップが予測される中で、新たな取り組みの財源を生み出すという点からは特に困難を伴う作業となりました。
そのような中でも、2つの無料化施策については、私がめざす「こどもを核としたまちづくり」の一丁目一番地の施策として是非とも実現したいとの思いから、これまで市議会本会議でも「令和6年度予算までにロードマップを示すなど持続可能な財源の見通しを立てて実施する」旨の答弁を行い、何とか財源のめどがつけられないか検討をしてきたところです。しかしながら、今回の編成作業が進む中で、10億円規模の貯金取崩しが見込まれるなど、想定を余りにも超える厳しい収支不足に直面し、私としては本当に苦渋の選択ではありましたが、限られた財源の中で、いま目の前にある市民生活への支えや先送りできない課題への対応を最優先することを決断し、合わせて約2.9億円の追加経費を必要とする無料化施策については予算措置を見送ることとしたものです。
この判断につきましては、市民のために、公約の第一歩にこだわってきた私としましても身を切られる思いでしたが、一方で、私自身が初めての予算編成に臨み、各部局から新年度の様々な行政課題を聴き取る中で、改めて本市には、無料化以前にも実に多くの役割・取り組みが期待されており、首長として、その一つひとつの経緯に目配りし、緊急性や優先度を考慮しながらバランスよく対応していかなければならないことを認識し、重く受け止めた結果であります。
今後は、市民の皆様に対して、「令和6年度は子育て世帯に向けた無料化施策を計上できなかったが、他の多くの負担軽減の取り組みや、三田の魅力を高め未来へ引き継ぐためのまちづくりに力を入れること、そのことが次の『元気な三田』に向けた確かな土台となること」について丁寧にお伝えし、ご理解をいただきたいと考えております。
ただ、私は今後も、「こどもを核としたまちづくり」が三田を活性化し、市の未来のために実質的にプラスになるとの考えを変えるものではありませんし、無料化等による負担軽減を含む子ども関連施策を最優先に進めることについて、何ら信念が揺らぐものではありません。
このめざす姿をできる限り早期に実現するために、令和6年度以降、市の取り組みとして、次の2つの取り組みを進めたいと考えております。
1つ目は、『市が一丸となって進めるための、こども施策の再体系化』です。
「こどもを核としたまちづくり」が本市の特長として認知され、市民の総合的な安心へとつながるためには、医療費や給食費等の無料化施策以外にも、心理的支援を含む母子の健康保持や教育、住宅・住環境など子どもにまつわる関連施策を市としてどう関係づけ、どう進めようとするのかを分かりやすく整理する必要があります。また、市政の中核となるこれら施策の体系や考え方を、まずは、施策を担う立場の市職員が等しく共有し、一丸となって取り組まなければなりません。
そのため、こうした子ども・子育て支援政策の整理を、令和7年度予算編成までに進め、その結果を市民・議会にお示ししながら、より効果的な推進を図ってまいります。
2つ目は、予算編成の状況等を踏まえた『財政構造改善の取り組み』です。
令和6年度予算において生じている大きな収支不足は、物価等高騰による歳出の増加に対して、価格転嫁や賃上げによる税収の増加が十分に追い付いていないという一時的要因が大きいと考えますが、本市の場合は、公共施設の老朽化等に伴う更新など投資関連事業が増加しているという現実もあり、潜在的な財政課題を放置せず、速やかな対応を進めることが必要です。財政の弾力性を高めておくことは、今回のような逆風下でも新たなチャレンジの可能性を狭めず、本市の発展を支え続ける基盤となります。
そのため、令和6年度に入って夏までをめどに、新たな財政的な取り組みを中心とする行動計画を取りまとめ、実行に移ってまいりたいと考えています。この過程では、取り組みの方向性等について議会にも報告しながら、検討を進めてまいります。
以上の取り組みを踏まえ、市民の皆様が期待する市長公約については、任期中の出来るだけ早い時期に是非とも実現したいと考えております。ご理解、ご協力を賜りますようお願いいたします。
 

補正予算

続きまして、令和5年度補正予算についてご説明申しあげます。
一般会計補正予算は、予算の年度内執行見込み等に基づき、増額又は減額するものでありますが、総額で1億3,804万円を減額するものであります。
歳出予算のうち増額補正につきましては、前年度実質収支分の2分の1を財政調整基金へ2億3,971万円、公共施設マネジメントに係る積立計画の前倒し分を公共施設等整備基金へ3億円、交付税追加交付に伴う将来の臨財債償還額相当分を減債基金へ1億2,055万円、ふるさと納税を通じてコロナ対策としてお預かりしたご寄付をコロナに負けるな!さんだエール基金へ700万円をそれぞれ積み立てるほか、国の物価高騰対策として住民税均等割のみ課税世帯への10万円及び低所得者の子育て世帯への「子ども加算」5万円の給付事業に2億8,250万円、継続的な物価高騰対策として、公共交通事業者や農業者、小規模事業者等への支援金あわせて7,170万円、また、国の補正予算に伴う前倒し実施として三輪小学校大規模改修事業等5億6,534万円等、23事業で18億9,900万円であります。一方、減額補正するものは、児童手当給付費、三田駅前Cブロック地区再開発事業費等、49事業で20億3,704万円の減額補正であります。
歳入予算につきましては、普通交付税の見込みの増加による4億224万円の増額、前年度繰越金の確定による2億7,201万円の増額等の補正であります。
そのほか、令和5年度中に完了しない事業等を令和6年度に繰り越して行うための20件の繰越明許費補正、さんだ市民センター等改修工事及び障害者相談支援業務委託費に係る債務負担行為補正並びに臨時財政対策債の確定による減少等に伴い市債限度額を変更する地方債補正であります。
次に、特別会計でありますが、国民健康保険事業特別会計では、保険給付費の増額や過年度及び現年度収入精算返納金の発生等による1億9,383万円の増額補正、駐車場事業特別会計では、一般会計借入金償還金により498万円の増額補正、後期高齢者医療事業特別会計では、後期高齢者医療広域連合への納付金の増額や一般会計支出金の増額により7,950万円の増額補正であります。
最後に、企業会計でありますが、下水道事業会計では、企業債償還金の見込みの増加により、資本的支出706万円の増額補正であります。

 

条例案件、事件決議案件等

次に、条例案件でありますが、野外活動センターの施設利用ニーズに柔軟に応えることを目的とした「三田市野外活動センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例」のほか、三田市民病院事業について指定管理者制度を導入するに当たっての、「三田市民病院事業の設置等に関する条例及び三田市民病院事業使用料及び手数料条例の一部を改正する条例」、また、学校給食の内容の充実を図ることを目的として、平成26年4月以降据え置いてきた学校給食費を改定するに当たっての「三田市学校給食費徴収条例の一部を改正する条例」等、計30件であります。
最後に、事件決議でありますが、「三田市民病院と済生会兵庫県病院の再編統合による急性期医療の確保に関する神戸市との連携協約の締結に係る協議について」、「(仮称)三田市新ごみ処理施設建設工事請負契約の締結について」等、計5件であります。

以上をもちまして、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、何とぞ慎重にご審議をいただき、適切なるご議決を賜りますようお願い申しあげ、提案の説明といたします。ありがとうございました。

この記事に関するお問い合わせ先

総合政策部 秘書課
〒669-1595 兵庫県三田市三輪2丁目1番1号
電話番号:079-559-5028
ファクス番号:079-564-6563
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