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昔、長坂の松ノ坂に「甚五郎」という雄ぎつね、井ノ草の城が谷に「おさよ」、四ツ辻の千本に「こじろ」という雌ぎつねが住んでいた。
周辺の山々にはたくさんのきつねが住み、年に一度の稲荷大祭の夜、松ノ坂で化け比べ大会を行っていた。
「おさよ」と「こじろ」も年々腕を上げたが、どちらも頭領の甚五郎に心を寄せ、反目(はんもく)するようになった。
五郎は胸を痛め、二匹を仲直りさせる努力をし、三年目の稲荷大祭では、磨いた腕を披露させた。そして、互いに相手の腕前をほめ合って仲直りさせるのだった。
満月を見ながら、甚五郎は、喜びの涙を流すのだった。
イラスト:岩本芳子
出展:三田市教育委員会「みんわまっぷ」平成7年
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